理科×探究×ICT 吉金 佳能(宝仙学園)
藤原和博氏のレアカード理論をご存知でしょうか。3つのかけ算で100万分の1のレアカード化せよというものです。この世界、100万分の1は無理でも、自身の価値をあげるために「かけ算」をするという考えにはとても共感しています。理科に何をかけて付加価値をつけるのか。私は、探究的な学びをベースに、ここ数年はICTをフル活用した実践を積んできました。今回の発表では、日頃考えていること、そしてこの一年間で行った実践を報告しました。最後に、理科授業で使えるおススメのアプリの紹介と昨年度行ったプロジェクションマッピングの様子も紹介しました。
ルーブリック評価を使った4年「もののあたたまり方」 5年『植物の発芽と成長』での『ウキクサ』を用いた授業実践報告 梅下 博道(ノートルダム学院)
4年「もののあたたまり方」でルーブリック評価を用いた授業実践を紹介しました。また、
田んぼや金魚鉢の水面に浮かぶ小さな緑色の水草「ウキクサ」に気を留めたことがありますか?「ウキクサ」は、時には水面を緑一色に席巻するほど爆繁する植物である。調べてみてみると初めて知ることが多く、興味が高まり、今回「植物の発芽と成長」の単元において,植物の成長での「ウキクサ」を用いた実践例を紹介させていただきました。
4年「電気のはたらき」での授業実践、6年「水溶液の性質」での実験の工夫 衛藤 巧(仁川学院)
「電気のはたらき」で本年度、児童それぞれに到達課題を設定して授業を進めていくため、座席表指導案を導入し授業を行いました。今回は、その成果と課題について報告しました。また、「水溶液の性質」については、水の蒸発実験における工夫について提案させていただきました。
MetaMoji ClassRoomを活用した授業展開 相馬 章隆(雲雀丘学園)
本校では、昨年度から4年生以上で1人1台の児童用タブレットを導入しています。現在は、各教科で「ロイロノート・スクール」を中心に活用を進めています。今回はタブレット端末の新たな活用法を探るべく、理科で授業支援アプリ「MetaMoji ClassRoom」を取り入れることにしました。使用感や効果を発揮する場面、今後の課題などについて実践結果を報告しました。
コケの世界へようこそ 亀山 詩乃(立教女学院)
苔テラリウム―それは、小さなガラス容器の中で育てる自分だけの小さなコケの森。近年インテリアとして人気が高まっていますが、手軽さが魅力で、水やりは2~3週間に1回でOK。日々生き物の世話に追われる理科の先生方でも、手軽に長く緑を楽しめます。身近でありながらじっくり見ることの少ないコケ。ワークショップで1人1つ自分だけの苔テラリウムを作り、コケの美しさを知っていただく機会となりました。
6年「ものの燃え方と空気」による粒子概念の形成 佐川 勝史(カリタス)
6年生「ものの燃え方と空気」では、物が燃えると酸素が二酸化炭素に変化することを学んだ。空気と同じ無色透明な気体である酸素や二酸化炭素の変化は直接見えず、石灰水や気体検知管による実験結果から推論する必要があった。苦手意識の強い子にはこのハードルがなかなか越えられなかった。今回は気体を粒としてイメージするようなイラストで考えを共有することで、見えない現象への理解を広げることができないものか、実践した。
身近(?)なわりに、面白い特性を持つ生物 磯畑 芳樹(桐蔭学園)
私たちは多くの物事を知っています。しかし、その知識は幼少期に得られた「イメージ」をもとに成り立っている場合が多々あり、実際の形質とは異なっている場合もあります。特に子どもは絵本やアニメーションなどの影響を大きく受けていると考えられます。そこで、すでに獲得している「イメージ」と、実際の生物との違いを認識できるような少し変わった身近な生物を紹介した。
タブレットを活用した授業例の紹介 戸田山 正宏(湘南白百合)
昨夏、本校でも理科室でタブレットが使用できる環境が整いました。そこで、6年生のいくつかの単元でタブレットを活用した授業に取り組んでみました。そのときの様子を、本校のICT環境も踏まえて、紹介しました。
マクロで教材作成 瀧場 進(国本)
理科にプログラミング教育を導入するにあたって、「プログラミングを学ぶと何の役に立つのか?」を教師自身が実感として理解する必要があると考え、広く普及しているMicrosoftのWordやExcelのVBAを使って実用的なプリント作成マクロを作る方法について発表し、ご意見をうかがった。ビジュアルプログラミングやアンプラグドプログラミングについてもいろいろなお話が聞けた。
安い、簡単、楽しいものづくり 天井 比呂(雲雀丘学園) 渡辺 真吾(甲南) 枝光 有実(京都女子大)
天井は、ドーナツ型磁石を使った棒状のマグナステックを改良して、円形のマグナリングを紹介した。枝光は、ガラスパールを用いて、ニュートンのゆりかごつくりを紹介した。既製品とは違い、糸の長さを自由に変えて実験できる利点があります。渡辺は、極小発砲スチロール球を用いて、音の形状を可視化するオモチャを紹介した。
生物多様性を取り入れた授業について ~6年「生物と環境」の実践より~ 清水 貴史(鎌倉女子大)
6年生の「生物と環境」の単元は、小学校理科で学んだ「生物」分野の集大成であり、生き物のつながりや環境保全など大切なテーマが含まれているにも関わらず、3学期で入試や他の行事などで忙しい時期が重なったり、テーマが広がったりするため指導が難しい。そこで、この単元で「生物多様性」というキーワードを中心に生物のつながりや人との関わりについて実践したので、使用した教材や生物多様性に関連して注目している本、施設、事柄などを紹介した。
1日で発芽し、14日で開花するアブラナ 壁谷 祐亮(白百合学園)
5年生「実や種子のでき方」には受粉の実験がある。しかし、ヘチマやアサガオの準備には長い期間がかかる上、児童全員分の数を提供するのは容易ではない。都合のよい植物を探していたところ、「ファストプランツ」を見つけた。本種は米国で改良されたアブラナの変種で、生活環が40日程度と非常に短い。加えて、1万ルクス程度の人工光で成長し、実験室の机上で栽培を完結させられる。その栽培記録と、授業での実践を報告した。
「てこのつりあい」に関する授業提案 霜田 圭一(清泉)
「てこのはたらき」という6年生の学習単元がある。日常生活でも、てこを活用した道具が多々あるので身近な学習であるはずだが、教科書等は小学生に向けた学習にするあまり、てこの本質的なつりあいについて疎かになっているように感じる。そこで、子どもたちにより深く分かりやすく伝えられるようにする工夫として、てこのつりあいについて考える授業を提案した。
栽培学習の意義ついて 松本芳將(聖ドミニコ学園)
本校では学園内にある畑を利用し、栽培学習を行っている。4年生ではウリ
科のキュウリ、5年生ではマメ科のダイズ、6年生ではジャガイモの栽培をしている。
教育現場では当たり前のように実施されている栽培学習であるが、この活動を通して
育みたい子どもたちの能力とはどのようなものであるかを改めて考察した。栽培学習
に関する学術論文のまとめ、本校で実施している農家の方と連携した栽培学習の取り
組み等を紹介した。
探究的な学習における初等教育理科の役割とは何か 坂元 美緖(早稲田実業)
新学習指導要領の実施にあたり、高等学校では新たに「理数探究」等が新設され、探究的な学習の重要性が高まっている。7月にSSHでの探究学習の公開授業に参加した際に、多くの高校の先生方が抱えている課題に直面した。初等教育における探究的な学習の在り方とは何か。今回は4学年における「自然界のふしぎ」という授業の実践報告を交え、探究的な学習での初等教育における役割について提案した。
よくばりフィールドビンゴ 西川 浩輔(国立音大)
3年生「身近なしぜんのかんさつ」で校庭を観察する際、フィールドビンゴをしています。フィールドビンゴは、五感を使って自然を楽しむビンゴゲームです。単発で終えるには勿体ない活動なので、季節による自然の移り変わりが意識できるよう、年7回行いました。さらに、草や木の名前、「こん虫のかんさつ」や「かげのでき方と太陽の光」など校庭で行う活動も盛り込んだ、「よくばり」な内容にした、実践報告をしました。
おもしろい天秤の話 高橋 慎司(湘南学園)
「力の仕事」の学習は、「てこ」のはたらきを学習してすすめられます。てこの考えは右側と左側の重さ(力)の関係で考えられます。ある場面で左右という考えが見た目どうなっているのか考えられないことがあり、実験によって解明することができます。
先生方とともに実験を通して釣り合い方の面白さについて考えました。
※昨年「電気パン」について考察を示しましたが、新たな発見もあり、報告のみ行いました。
新しい!面白い!STEAM教育の実践 川崎公美子(同志社)
新学習指導要領でプログラミングやICTが注目されていますが、機器やシステムの変更に関わらず行える新しい時代の理科の授業が求められていると言えます。そこで、STEAM教育(Science/Technology/Engineering/Art/Mathematicsの5つの領域を重視する教育)の実践を紹介し、皆さまからのご意見を伺いました。ロボットAlilo 、サイエンスクッキング、プラ板アートなど簡単な実習も行いました。
パフォーマンス評価としてルーブリックを使ったものの燃え方の授業 五十嵐泰司(立教)
6年生のものの燃えかたの単元でパフォーマンス評価としてルーブリック評価を使ってみたので、その内容を報告した。何を評価されるのかがはっきりするので、話し合いや実験に好ましい変化が見られた。
自然と対話したくなる授業を目指して 「始祖鳥は鳥?恐竜?」「食物連鎖ゲーム」 福富 直史(桐光学園)
子どもたちが自然と話し合いたくなるようなおもしろい課題(ネタ)を提供すれば、子どもたちは勝手に多くのことを学びとり、学び合い、高め合うことができるだろう。そんな思いから、いくつかの授業を計画して実施しました。ひとつは「始祖鳥は鳥か?始祖鳥か?」。この問いかけから、始祖鳥のことばかりではなく鳥類や恐竜の体のつくりの類似点やちがいを見出していきます。2つめは拙い自作の「食物連鎖ゲーム」を通して、生態系の生物量のベストバランスを考えることに挑戦しました。以上の授業実践報告を行いました。
4年「電気のはたらき」でのiPadを用いた授業実践報告 神田 賢人(ノートルダム学院)
本校では現在、4年生以上が1人に1台のタブレットを持てるように環境を整え、有効な活用方法を模索しています。4年生「電気のはたらき」は目に見えない「電気」を扱うことで、様々な教材を用いて可視化することが大切だと思います。タブレット端末を使用することで、どのような効果があるのかを試行しましたので、その様子を報告しました。
わかりやすくビデオで教材を作ってみよう 大澤 知由(立教女学院)
タブレットの導入が進んでいますが、どう活用するかが課題かと思います。本校でも共有教材としてタブレットが導入されていますが、これを理科で活用するにあたり、せっかくならば今まで少し盛り上がりに欠けていた内容が、タブレットによって生き生きとした活動になってくれれば良いなと考えていました。
そこで4年生の天文の単元において、「わかりやすくビデオで教材を作ってみよう」と題して、グループごとに映像制作を行った実践を報告をさせていただきました。
火を見たことがない小学生に燃焼の単元を教える時代を考える 長田 朋之(光塩女子学院)
教科書における6 年生の燃焼の単元を扱いは、ものが燃えている場面や炎を見たことがあるという前提で内容が組み立てられる傾向がある。しかし、オール電化の家に住むなど、目に見える形では火を使わない生活をしている児童も多くなっており、今後、ほとんどの児童が本物の火を見たことがないという学級で燃焼の単元を実施する時代がくるかもしれない。そこで5年生のうちに少しでもものを燃やす経験をさせるために行った火おこし体験について発表した。
もしあなたがお医者さんなら…?~小学校6年生理科 人体学習の総括として~ 田中 翔(青山学院)
6年生の人体の学習は直接自分の体に関わることであるせいか、多くの児童が比較的高い興味関心を持って学ぶ単元ではないだろうか。その様な単元の中で、学んだ知識がどの様に日々の生活の中で活きていくのかまで子ども達が理解できると、学びがより生きてくるのではないかと考えた。
本実践報告では、人体の単元で学んだことをもとに、症状から病名を診断し、投薬を考える、という実践を発表し、皆様にもその過程を体験していただいた。
MESHを使ったプログラミング教育の実践報告 大久保遥峰(成蹊)
理科においては、学習指導要領の6年「電気の利用」の内容の取り扱いの部分にプログラミングを行ってものの動きを制御する体験的学習を行うことが明記されている。それによって、エネルギーを効率的に利用する仕組みを理解することが示されている。 よって、本校の理科でも先行的にプログラミング教育を実践し、どのように取り入れていくのかを検討するための授業を行ったのでそれについて報告した。
ちょっとした体験、子どもの調べ学習を理科の授業にとり入れる試み(17) 松澤 一仁(聖心女子学院)
昨年の2学期から今年の1学期まで、ちょっとした体験や子どもの調べたこと等を使った理科の授業での実践を発表しました。今年で17回目の発表になります。発表内容は、空気ボンベの中の空気の量、神奈川県にも等々力ってどういうこと、あかピン村の青ミッキィー、食品添加物のいろいろ、百葉箱は古い?強制痛風筒の登場、単位の話等です。用意していた発表がすべて終わらず、また来年度お願いします。
導入が授業を貫く柱となる (萩野 友紀、東星学園)
5年生「ふりこ」の授業において、今までは児童に「実験をさせている」という感覚がぬぐえなかった。教材を工夫し、導入からそのまま授業の最後まで、児童が自ら実験を進められるように計画した。きっかけは、「Pendulum Waves」という、ふりこが揺れながら蛇行を始めるおもちゃを見つけたことであった。児童が、自分で糸の長さ(ふりこの長さ)を変えたり、重さを変えたりできる工夫をし、教材を自作した。ヒートンを三角形にすると、支点位置が固定できるなどの有益なご助言をいただきました。